2014年7月31日木曜日

シフト勤務者がメラトニンを減らさない7つのポイント

ご無沙汰です~。今日は産業医で担当している所に健康情報を書きましたので、ブログにもアップしておきます。


メラトニンは私達の体が夜間に休息し回復する為の昼夜のサイクルに重要な働きをしているホルモンです。他にもメラトニンには抗酸化作用、免疫力の恒常、癌細胞を抑える効果やストレスから守ってくれるという働きがあります。

脳内の松果体は夕方メラトニンの分泌を始め、真夜中にピークに達し、朝には日中のレベルに下がります。このサイクルが乱れると睡眠障害、倦怠感、胃腸障害などを引き起こします。又、夜勤の多い看護師や国際線の乗務員のようにサイクルの乱れやすい職種の人はメラトニンのレベルが低く、乳がんの発生率が高いことも報告されています。

メラトニンの分泌は光によって調節されます。暗くなると体内のメラトニンの量が増えて眠くなりますが、光が入るとメラトニンの生産は少なくなります。

それでは、夜勤務している人はどうしたらメラトニンを減らさないで体の調子を整えるといいのでしょうか?以下はメラトニンや体内時計の性質を踏まえて調査した結果、有効と結果がでているものです。ぜひ参考にして下さい。

1.体内時計は25時間と言われています。その為シフトのスケジュールは時計回りに組むといいようです1。(14時から始まるシフトの人であれば、次にシフトが変わる際は17時や23時に始まるシフトにする方がいいです。もし次が朝10時から始まるシフトになると反時計回りになり、調節しにくくなります。)
2.シフトが終わって朝帰宅する際は濃いサングラスをかけて、光をできるだけ遮断して下さい2(光が入るとメラトニンが生産されなくなります。)
3.睡眠時は完全に暗い部屋3で(遮光カーテンを使用して下さい)光を入れないようにして下さい。電磁波も光と捉えられます4ので、携帯電話もオフにするか、できるだけ遠い部屋に置いて下さい。携帯を目覚まし時計替わりに枕元に置く人がいますが、睡眠の質が下がります。目覚ましは目覚まし時計を使うようにしましょう。
4.シフト後寝る際はメラトニンを服用してもいいかもしれません。これはサプリメントで日本では購入できませんが、個人輸入が認められているものです。興味があればご相談下さい。
5.勤務中は明るい光を浴びるようにしましょう。もし職場で2500ルクス以上の高照度照明があれば、何回かにわけて浴びるか、シフトの最初の数時間6浴びるように心掛けるといいようです。もしくは家で高照度照明を使って勤務前に浴びることもいいでしょう。
6.勤務直前に仮眠をすることも勤務中の眠気防止にいいようです。7
7.睡眠前のお酒は眠りの質を妨げますので、できるだけ避けた方がいいです。又コーヒーで眠気を覚ましている方もいると思いますが、これも実はメラトニンの分泌を妨げ、睡眠の質を悪くしますので、できるだけ避けた方がいいです。眠気覚ましには今のところ仮眠が一番いいようです。許されるなら、職場でも仮眠をとるといいと思います。又、眠くなったら水を飲んだり、立って体を動かしたりすることを心掛けることがコーヒーと同じぐらい目覚まし効果がある場合もあります。すぐにコーヒーに手を出さず、まず試してみて下さい。
参考文献
1.Czeisler CAMoore-Ede MCColeman RH. Rotating shift work schedules that disrupt sleep are improved by applying circadian principles” Science. 1982 Jul 30;217(4558):460-3.
2.Stephanie J. Crowley, BA, et al. “Complete or Partial Circadian Re-entrainment Improves Performance, Alertness, and Mood During Night-Shift WorkSleep 2004 VOLUME 27, ISSUE 06 
3.Koller, M, Kundi, M, Stidl, HG, Zidek, T, and Haider, M. Personal “light dosimetry in permanent night and day workers. Chronobiology”International 1993;10:143-55
4.Halgamuge MN “Pineal melatonin level disruption in humans due to electromagnetic fields and ICNIRP limits” Radiat Prot Dosimetry. 2013 May;154(4):405-16. doi: 10.1093/rpd/ncs255. Epub 2012 Oct 10.
5.Costa, G, Ghirlanda, G, Minors, DS, and Waterhouse, JM. “Effect of bright light on tolerance to night work.” Scandinavian Journal of Work, Environment & Health 1993;19:414-20.
6.Budnick, LD, Lerman, SE, and Nicolich, MJ. “An evaluation of scheduled bright light and darkness on rotating shiftworkers: trial and limitations.” American Journal of Industrial Medicine 1995;27:771-8.
7.Garbarino S Professional shift-work drivers who adopt prophylactic naps can reduce the risk of car accidents during night work.” Sleep. 2004 Nov 1;27(7):1295-302.
8.奇跡のホルモンメラトニン」ラッセルJ・ライター(1995) 

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